外科

各疾患詳細

1. 犬の避妊手術

避妊手術(卵巣子宮摘出術)は主に高齢になったときにかかりやすい子宮や卵巣の病気の予防・乳腺腫瘍の発生率を減少させ望まない妊娠の予防を目的に実施します。
乳腺腫瘍の発生率は初回発情以前に避妊手術をすると0.05%、2回目の発情以前で8%、2回目の発情以降で26%となります。避妊手術を行うことにより命に関わることもある子宮蓄膿症や卵巣の病気にならなくなり、2回目の発情前に行えば乳腺腫瘍の発生率も下げることができます。

2. 犬の去勢手術

去勢手術は高齢時に発生しやすい前立腺肥大や精巣腫瘍の予防、男性ホルモン依存性に発生しやすい肛門周囲腺腫、会陰ヘルニアの発生を抑える目的があります。
精巣が陰嚢ではない皮膚の下やお腹の中など正しい位置にない潜在精巣の場合、腫瘍になるリスクが高くなる(約13倍)ので早期の去勢手術が理想です。
こちらも主に子犬の時期に実施することが多いですが、成犬の場合は上記の理由から早い段階での手術を推奨しています。

3. 猫の避妊手術

避妊手術の目的は大きく犬と同じです。猫の発情期は大きな声で鳴くなどの行動が目立つ場合が多く、避妊手術することでこれらの発情行動が無くなります。猫では犬より乳腺腫瘍の悪性度が高い(犬50%、猫90%)ので乳腺腫瘍の予防として行う場合は犬より重要度が高いです。
乳腺腫瘍の発生率は6カ月齢以前に避妊手術をすると9%、7~12カ月で14%、13~24ヶ月では89%となりますので早い時期に行えば乳腺腫瘍の発生率を下げることができます。

4. 猫の去勢手術

去勢手術はマーキング(スプレー)行動の抑制や軽減を主な目的として実施します。また、猫でも犬にくらべて稀ですが精巣が陰嚢ではない皮膚の下やお腹の中など正しい位置にない潜在精巣である場合があるため、この場合はマーキングの有無を問わず手術することが望ましいです。

5. 腫瘍切除

腫瘍切除は腫瘍の根治や減容積(小さくすることで後の内科治療の効果を高める)を目的に実施します。どこに腫瘍があるのか、どのような腫瘍なのかによって切除までの過程は変わってきます。切除した腫瘍を病理検査にだすことにより腫瘍の種類がわかり今後どのような対策をとればよいのかがわかります。

6. 乳腺腫瘍切除

乳腺腫瘍切除は、乳腺に発生した腫瘍を摘出するもので、発生部位や発生数に応じて、部分切除(一部のみ取る)または片側全切除(片側の乳腺を全て取る)をおこないます。
乳腺腫瘍は女性ホルモン依存性に発生しやすいとの報告もあるため、摘出時に避妊手術(卵巣子宮摘出術)を実施していない場合は同時に避妊手術も実施する場合があります。
摘出した腫瘍は検査機関に送付し、良性悪性を判断してもらいます。摘出後も定期的に転移や再発の有無を調べる必要がありますが、良性はもちろん悪性であった場合も手術で完全に取り切れれば完治を目指せます。

7. 帝王切開

難産が予測される場合、難産になってしまって子供が生まれてこない場合に行います。難産が長く続くと母体への負担も大きく母親、子供ともに生存率が下がってしまいますのでできるだけ早く決断して行います。手術を行うことにより母子ともに生存率を上げることができます。短頭種は自然分娩がほぼ不可能なので基本的に帝王切開が必要です。

8. 試験開腹

お腹の中に異常がありそうだが様々な検査(血液検査、レントゲン、超音波、CTなど)を行っても原因が追究できない場合に直接肉眼で異常を確認するために行います。直接お腹の中を見ることができ異常が見つかればそれに対する対処を行うことができます。どうやっても原因が分からなかったものがこの手術によって原因が分かり診断がつき治療までできるケースもあります。

9. 肝臓生検

肝臓に異常があるのはわかっているがその原因がわからない場合にその原因を探して診断をつけるために行います。肝臓の一部を切除して病理組織検査を行います。診断がつくことにより肝臓の病気に対して効果的で適切な治療を行うことができます。

10. 肝臓腫瘍摘出

肝臓の腫瘍を切除する手術です。転移がなく腫瘍が全て取り切れるような場所にある場合は切除により完治を目指します。取り切れないような場所にある場合でも切除して病理検査にだすことにより腫瘍の診断がつきますのでその腫瘍に効果的な抗がん剤、放射線療法などのその後の治療の選択肢を増やすことができます。

11. 脾臓摘出

主に脾臓に腫瘍がある場合に行います。脾臓を全て切除しますので転移がなければ完治が目指せます。脾臓に腫瘍がある場合は脾臓が裂けて大出血することがありますのでその予防のために切除する場合もあります。すでに出血してしまった場合は止血して緊急状態を回避するために切除を行うこともあります。また脾臓は血球を壊す場所であり、血球を壊す過剰な免疫細胞を作る場所でもありますので血球に対する自己免疫疾患の治療として摘出を行う場合もあります。この場合脾臓の摘出により自己免疫疾患の完治が目指せます。

12. 膀胱結石摘出術

膀胱の中に結石がある場合に行います。膀胱結石の摘出により膀胱炎の症状が無くなり
動物が快適に過ごせるようになります。ただ適切な食事療法を行わなかった場合の再発率は高いので術後は食事の変更が必要となる場合が多いです。どの食事を選ぶかは結石の種類により異なります。

13. 胃腸切開術

主に胃内腸内の異物を取り出すために行います。胃内の異物は内視鏡で取り出す場合も多いですがそれができない場合は胃の切開を行います。腸内の異物は詰まってしまったら手術以外で取り出すことはできず、腸閉塞の状態が長く続くと命に関わる場合もありますので迅速に摘出することが必要です。異物を摘出した後は数日間の食事制限はありますが嘔吐などの症状はなくなり回復していきます。

14. 骨髄穿刺

血液細胞(赤血球、白血球、血小板)が減少しているまたは増加しているがその原因がわからない場合に行います。骨の中にある骨髄と呼ばれる部分を太めの針で刺しその中の細胞や組織を採取します。これを行うことにより診断がつき血液の異常に対して治療を行うことができます。

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