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対応手術一覧

対応手術一覧

当グループでは各獣医師がそれぞれの専門性を高めることによって、以下67の手術・処置に対応をしています。
今後も順次対応範囲を広げていく予定です。また、こちらに記載のない、より高度な手術・処置が必要な場合はその分野に長けた外部の専門医を紹介させていただきますので、まずは診断・ご相談ください。

一般外科

避妊・去勢手術(犬)

避妊手術は、以下2点を目的に実施します。
– 主に高齢になったときに罹患しやすい、子宮や卵巣まわりの病気の予防、乳腺腫瘍の発生率の減少
– 望まない妊娠の予防

乳腺腫瘍の発生率は、避妊手術の実施時期によって大きく異なり、
– 初回発情以前に実施:0.05%
– 2回目の発情以前に実施:8%
– 2回目の発情以降に実施:26%
となります。手術を行うことにより命に関わることもある子宮蓄膿症や卵巣の病気ににならなくなり、2回目の発情前に行えば乳腺腫瘍の発生率も下げることができます。

去勢手術は高齢時に発生しやすい前立腺肥大や精巣腫瘍の予防、ホルモン依存性に発生しやすい肛門周囲腺腫、会陰ヘルニアの発生を抑える目的があります。精巣が皮膚の下やお腹の中など正しい位置にない潜在精巣の場合、腫瘍になるリスクが高くなるため、早期の去勢手術実施が望ましいです。主に子犬の時期に実施することが多いですが、成犬の場合は上記理由から早い段階での手術を推奨しています。

避妊・去勢手術(猫)

避妊手術の目的は大きくは犬と同じです。
猫の発情期は大きな声で鳴くなどの行動が目立つ場合が多く、避妊手術することでこれらの発情行動の抑制または軽減につながる可能性があります。

乳腺腫瘍の発生率は、避妊手術の実施時期によって大きく異なり、
– 6カ月齢以前に実施:9%
– 7~12カ月齢に実施:14%
– 13~24ヶ月齢に実施:89%
となりますので、早い時期に行えば乳腺腫瘍の発生率を下げることができます。

去勢手術はマーキング(スプレー)行動の抑制や軽減を主な目的として実施します。また、猫でも犬と同じく潜在精巣の場合はマーキングの有無を問わず早期の手術が望ましいです。

腫瘍切除

腫瘍切除は腫瘍の根治や減容積(小さくすることで後の内科治療の効果を高める)を目的に実施します。どこに腫瘍があるのか、どのような腫瘍なのかによって切除までの過程は変わってきます。切除した腫瘍を病理検査にだすことにより腫瘍の種類がわかり、今後どのような対策をとればよいのかがわかります。

乳腺腫瘍切除

乳腺腫瘍切除は、乳腺に発生した腫瘍を摘出するもので、発生部位や発生数に応じて、部分切除または片側全切除をおこないます。乳腺腫瘍はホルモン依存性に発生しやすいとの報告もあるため、摘出時に避妊手術を実施していない場合は同時に避妊手術も実施する場合があります。摘出した腫瘍は検査機関に送付し、良性悪性を判断してもらいます。摘出後も定期的に転移や再発の有無を調べる必要がありますが、良性はもちろん悪性であった場合も手術で完全に取り切れれば完治を目指すことができます。

帝王切開

難産が予測される場合、難産になってしまって子供が生まれてこない場合に行います。難産が長く続くと母体への負担も大きく子供の生存率も下がってしまいますのでできるだけ早く決断して行います。手術を行うことにより母子ともに生存率を上げることができます。短頭種は自然分娩がほぼ不可能なので基本的に帝王切開が必要です。

試験開腹

お腹の中に異常がありそうなものの、様々な検査(血液検査、レントゲン、超音波、CTなど)を行っても原因が追究できない場合に直接肉眼で異常を確認するために行います。直接お腹の中を見ることができ、異常が見つかればそれに対する対処を行うことができます。どうやっても原因が分からなかったものがこの手術によって原因が分かり、診断→治療→治癒まで進むことができるケースもあります。

肝臓生検

肝臓に異常があるのはわかっている場合にその原因を探して診断をつけるために行います。肝臓の一部を切除して病理組織検査を行います。診断がつくことにより肝臓の病気に対して効果的な治療を行うことができます。

肝臓腫瘍摘出

肝臓の腫瘍を切除する手術です。転移がなく腫瘍が全て取り切れるような場所にある場合は、切除により完治を目指します。取り切れないような場所にある場合でも、切除して検査にだすことにより腫瘍のより具体的な診断ができますので、その腫瘍に効果的な抗がん剤、放射線療法などの選択を適切に実施することができます。

脾臓摘出

主に脾臓に腫瘍がある場合に行います。脾臓を全て切除しますので転移がなければ完治を目指すことができます。脾臓に腫瘍がある場合は、脾臓が裂けて大出血することがありますので、その予防のために切除する場合もあります。すでに出血してしまった場合は、止血して緊急状態を回避するために切除を行うこともあります。また脾臓は血球を壊す場所であり、血球を壊す過剰な免疫細胞を作る場所でもありますので、血球に対する自己免疫疾患の治療として摘出を行う場合もあります。この場合脾臓の摘出により自己免疫疾患の完治が目指せます。

消化器科

腸生検

腸管内にポリープや腫瘍が見つかった場合、腸の内側に病変があれば、内視鏡を用いて腸の一部を採取し病理検査に出します。もし腸の内側からは病変が見えない場合は、外科的にお腹を開けて病変部の腸を病理検査に出します。また、慢性腸症では炎症の部位に偏りがある場合があるため、胃、十二指腸、結腸、直腸など複数箇所からの採取が必要になることがあります。腫瘍などを摘出した場合は病理検査に基づき、その後の抗がん剤を含む内科治療や外科治療を決定します。慢性腸症においても、病理検査結果により診断を確定後、内科治療を実施し症状の改善を目指します。

腸切除

腸管内にポリープや腫瘍が見つかり、外科的に摘出する場合や、腸の一部が壊死している場合に腸の一部を切除します。近くのリンパ節に腫瘍の転移が疑われる同時は切除します。腸の切除後は残った腸同士をつなげ、元の場所に戻します。術後に腸の動きが戻り、食欲などが安定すれば予後は良好なものの、腫瘍などの再発有無は定期的に検査することが重要です。

内視鏡による異物除去

おもちゃ、ビニール、ヒモなどの異物を誤って飲み込んでしまった場合、食道~胃や十二指腸の入り口あたりに異物がある場合、内視鏡にて探索をします。異物の種類によっては、サイズが大きい場合や尖っており、引っ張りだすことで食道が傷つく可能性があるため、まずはサイズや形状を確認します。内視鏡での異物除去は、胃や腸の切開とは違い、術後の回復も早いため、可能であればメスを使わないで済むこのやり方を選択します。順調であれば、当日から翌日には退院することができ、早期に日常生活へと戻ることができます。

胃切開・腸切開による異物除去

おもちゃ、ビニール、ヒモなどの異物を飲み込み、腸閉塞が起こる、もしくはその恐れがある場合に、必要な部位での切開が行われます。腸の血流を確認し、問題なければそのまま縫合します。もし血流が悪く壊死がある場合は、一部を切除してから縫合をします。異物が取り除かれた後、数日後から明らかな体調の良化を認める傾向が多いです。食欲、腸の動き、排便の確認などを経て約1週間で退院できます。誤食の再発防止のため、飼い主様にて日常生活環境整理を行っていただくことがとても重要です。

会陰ヘルニア手術

お尻の筋肉は複数の筋肉で構成されていますが、その筋肉が細くなると隙間ができ、腸、膀胱、脂肪などの臓器が飛び出します。会陰ヘルニアの手術は飛び出した臓器を元に戻し、筋肉の隙間を塞ぎます。去勢していないオスの犬では、男性ホルモンがお尻の筋力低下に関連していることが多いため、会陰ヘルニアの手術と同時に去勢手術も実施します。手術後は、飛び出ていた臓器が元に戻るため、手術を受けた子は今までどおり、うんちやおしっこができるようになります。また、お尻の左右反対側もヘルニア発症のリスクが高いため、慎重に経過を観察します。

臍ヘルニア整復手術

赤ちゃんは臍の緒を通じて、お母さんとつながっています。出産~生後半年くらいで、臍の緒がつながっていた小さい穴が閉じていきます。そのときに、穴が開いたまま残ってしまうことを臍ヘルニアと呼びます。お腹の中の脂肪が少し触れる程度で、押したら戻る場合は緊急性が低いですが、ヘルニアの穴から臓器が出ている場合は要注意です。臍ヘルニアの整復は、ヘルニアの内容物が脂肪か臓器なのかを確認してからお腹の中に戻します。その後は、腹膜を縫合し、ヘルニアの穴が塞がっていることを確認します。手術後1〜2週間ほどで術部がきれいに治ります。

鼠径ヘルニア整復手術

太ももの付け根あたりに、小さな穴や、膨らみが触れる場合、鼠径ヘルニアの可能性があります。 脂肪が触れることがほとんどですが、穴の大きさによっては、腸や膀胱などのお腹の中の臓器が、飛び出ていることがあります。鼠経ヘルニアの整復は、ヘルニアの内容物をお腹の中に戻し、臓器が再び出ないように穴の大きさを縮小させます。手術後1〜2週間ほどで術部がきれいに治ります。

泌尿器科

腎臓摘出

主に腎臓腫瘍の際の選択肢となります。腫瘍が片側性であり、転移がなければ罹患している腎臓の全摘出を行い反対側の腎臓を温存します。腎臓の局所に病変がある場合は部分切除も対象となります。

膀胱結石除去

膀胱に存在する結石による粘膜の損傷や、細菌の易感染性により膀胱炎になる場合があるため、膀胱から結石を取り出す必要があります。またオスの場合尿道が細く長いため、結石が詰まる(尿道閉塞)のリスクを除去するために実施します。取り出した結石は外部検査に委託し成分を特定し、それに基づき食餌などの生活習慣を見直すことも重要です。結石を除去した後は、おしっこが出にくい、血尿、頻尿などの症状はもちろんかなり改善されます。その後、結石分析をもとに食事などのお話・ご相談を担当獣医と飼い主様の間で重ね、再発をしないようにしていきます。

腎臓結石除去

腎臓に存在する結石により、制御できない感染や閉塞が生じる場合の選択肢となります。腎臓(または腎盂)を切開し、腎臓内に存在する結石を取り出します。取り出した結石は、膀胱結石と同様に成分の特定を行い、その後の治療を行います。

膀胱破裂整復

交通事故や腫瘍などにより膀胱が損傷を受け、お腹の中に尿が漏れ出している状態の際の選択肢です。まずは動物の状態を安定させてから手術を検討します。損傷(あるいは壊死)を受けた膀胱の粘膜を切除し、残った部分を縫い合わせます。

眼科

眼球摘出手術

眼球摘出術は、外傷などにより眼球自体が飛び出てしまった、角膜が破けてしまったといった際に実施されます。また目の腫瘍ができた場合や、緑内障の痛みが内科でコントロールできない場合に実施されます。眼球を摘出することで、しないままでいると発生し続けてしまう痛みから解放することができます。手術実施直後を除いて、回復後は点眼処置などが必要なくなります。

義眼手術

緑内障が進行し、視力が喪失し、眼圧がうまくコントロールできない場合に、角膜の損傷がなければ実施されます。眼球の内容物を除去し、シリコン製の義眼を眼内に挿入します。手術実施後にドライアイになったり角膜潰瘍になることがあるため、生涯にわたって点眼薬が必要になることがあるものの、概ね健康で正常であった時とあまり変わらない見た目にできます。

緑内障・網様体レーザー法

緑内障の内科治療を軽減する目的で実施されます。眼球内の毛様体といわれる部分にレーザーを照射することで毛様体を破壊し、眼房水の産生を抑えることで眼圧を低下させます。眼球摘出や義眼挿入と比べると、目に傷をいれることなく、手術時間も短く済むので動物の負担が少なく済みます。

角膜格子状切開術

なかなか治らない再発性の角膜の傷(角膜上皮びらん:SCCEDs)に対して実施されます。普通の角膜びらんや角膜潰瘍は点眼薬だけで治ることが多いですが、なかなか治らない場合にこのSCCEDsの可能性があります。これは角膜上皮と角膜実質の間に隙間ができてしまっていることが原因で起きます。点眼薬だけでは治療への反応が悪く、外科的に角膜の表面に傷をつけて、不要な上皮を滅菌綿棒でめくることで角膜上皮の再生をすすめ、手術後は動物用のコンタクトレンズを装着し、角膜保護をすることで治療します。

眼瞼腫瘍摘出術

まぶたの腫瘍は犬では良性が多く、猫では悪性のことが多い腫瘍です。良性であっても、まぶたにできた腫瘍では、目の表面に当たることで角膜潰瘍を起こしてしまいます。大きくなる前に外科的に完全に切除することで、完治となることがほとんどです。

瞬膜腺突出(チェリーアイ)整復

犬・猫には、まぶたと目の間に第三眼瞼(瞬膜)と呼ばれる第3のまぶたがあります。そこから瞬膜腺が飛び出てしまうことがあります。軽度であれば、点眼薬で治まることもありますが、再発を繰り返すようだと外科的に整復する必要があります。瞬膜腺は涙の分泌に関わり、切除してしまうとドライアイを発症させる可能性があるため、最新方法として瞬膜の中に埋め込ませるポケット法やアンカー法などを組み合わせて治療することで、再発を最小限に抑え正常な状態まで戻します。

結膜皮弁術

点眼薬だけでは治癒が望めない重度の角膜潰瘍や角膜穿孔に対して実施されます。角膜は透明でないと意味がないため、角膜の表面には血管が走っていません。皮膚などに比べて血液からの栄養が届きにくいため、傷の回復が悪い傾向にあります。角膜の外側にある結膜を薄く剥離して、角膜の表面にある傷部分を結膜で覆うことで、角膜に十分栄養を行き届かせることにより、重度の角膜の傷を回復させることができます。

眼瞼内反整復

まぶたが内側入り込んでしまっている場合、まぶたやまつ毛が角膜に接触し、痛みが強く出たり、流涙が多く出ます。また、重症化すると角膜炎や角膜潰瘍に陥ってしまいます。まぶたの皮膚の一部を切除することで、正常な状態に矯正します。

呼吸器

軟口蓋過長整復術

軟口蓋という気道のふたをなしている組織が長すぎて呼吸がしずらく、またその状態を改善しようと努力性に呼吸をすることで腫れる場合に適応されます。軟口蓋が喉頭蓋の先端と接触するくらいの長さに短くし、表面を縫合します。手術後は酸素室内での管理や喉頭の腫れを引かせるためにステロイド剤を投与することもあります。予後良好で多くの子でガーガーいう呼吸の状態やいびきの改善が認められます。

外鼻腔狭窄整復術

外鼻腔が狭いことで、呼吸がしずらい場合に実施されます。主にパグ、フレンチブルドック、ペキニーズなど短頭種と言われる頭部が短い犬種が適応となります。
鼻翼の粘膜を切除し、鼻腔を広げます。術後半日から1日酸素室内で入院が必要で、切除した粘膜からの出血が数日伴うことがありますがきちんと止血し、抗生物質の使用で治癒します。その後は普段の生活が可能で、酸素の通り道が確保されるため、普段及び興奮時の呼吸状態や鼻が鳴る音の程度がかなり改善されます。

片側披裂軟骨側方化術

喉頭麻痺の症状がある子に適応されます。喉頭麻痺とは空気を吸う時に、声帯ヒダと披裂軟骨が完全もしくは部分的にしか動かない状態を示し、呼吸困難や進行すると誤嚥を起こすことがあります。片側の披裂軟骨と輪状甲状軟骨の間を分離し、尾側へ位置をずらします。手術後数日は、呼吸困難、嚥下時の不快感、摂食後に咳を伴うことがありますが、酸素室内での管理また腫れがひくまで鎮咳剤の併用で改善します。呼吸状態や運動量は多くの子で改善が認められます。

喉頭声帯切除術

吠えるまたは鳴く声が大きい場合にそれを軽減することが目的の処置となり、他には声帯部位に腫瘍がある場合も適応となります。声帯ヒダという甲状軟骨の内側左右にある組織を除去します。術後半日から1日酸素室内にて呼吸状態が悪化しないか確認、また粘膜が腫れたり、浮腫を起こす場合はステロイド剤の投与を行います。手術後は普段通りの生活が可能で、声のボリュームは半分ほどに小さくなりますが、吠えるまた鳴く行動が持続する場合、声のボリュームは最終的に以前の3〜5割ほど軽減されます。切除した組織が再生をし、声のボリュームが以前と同等くらいに戻る場合は再度切除が必要となりますが、当院では1回目の処置時に可能な範囲で切除を行いますので再手術になる可能性は高くはありません。

喉頭小嚢反転整復術

喉頭嚢が外側に反転し、反転することで気道が狭くなり呼吸困難、努力性呼吸が出る場合に処置を行います。軽度であれば内科的療法、中等度から重度の呼吸困難が出る場合は外科的療法が望ましいとされていますが、切除後も喉頭小嚢が外反したままになることもあり外科的療法は議論されている部分があります。左右の外転した喉頭嚢を切除します。手術後、切除部位の出血や腫脹が気道を閉塞させる場合があるため、半日から1日酸素室内で呼吸状態の確認が必要となります。3割の子で合併症が、1~2割の子が巨大食道や術後神経症状で死亡が報告されていますが、併発している軟口蓋過長や喉頭虚脱を加療することで良好な予後が見込まれます。また、いびきや喉を鳴らす音の程度は多くの子で改善が認められます。

歯科

口内炎治療 臼歯全抜歯

犬や猫では、重度の口内炎の結果、歯根部の顎の骨の一部が溶けていることがあるため、レントゲン検査で口のレントゲンを確認します。猫の場合はエイズウイルスは、口内炎の悪化の原因となるため、確認しておくことが望ましいです。難治性の口内炎治療として臼歯(奥歯)を抜く手術があります。人と同じく、抜歯後に顔が少し腫れることがあるため、炎症や痛みを抑えるために2〜3日入院することが一般的です。一見痛そうな手術ですが、手術後は炎症が徐々に治まり、食欲改善や涎がでなくなるといったことにつながります。猫では全臼歯抜歯により、60%ほどが完治し、20%は著しい改善を認め、わずかに改善が得られたものを含めると有効率は93%ほどであったとの獣医学研究データがあります。

口腔内レーザー照射

軽度の口内炎の治療、臼歯抜歯後の治療に用います。基本的に無麻酔での実施が可能です。レーザーを照射することで炎症を緩和させ、痛みを取り除くことができます。難治性の口内炎の猫で、例えば臼歯抜歯後にかなり炎症は改善したものの、まだ口を気にしていた子は、週に1回のレーザー治療で痛み止めを使わずに、ごはんもしっかりと食べてくれるようになっています。効果を維持するためには1週間に1回など定期的な照射が有効です。数回の照射で改善がある場合は、照射する頻度を減らして月1回で経過をみていきます。

犬歯抜歯

犬歯は歯根がかなり長く、その先端は鼻腔の近くにまで達します。犬歯での歯石などの付着や炎症ではくしゃみや鼻水などの症状を引き起こすことがあります。犬歯を抜き、抜いた部分をきれいにして閉じてあげることで感染や炎症の波及がなくなります。

歯石除去(スケーリング・ポリッシング)

歯に付着した歯石を除去する手術です。全身麻酔が必要になります。歯石を除去した後、研磨剤(歯磨き粉)を用いて表面を滑らかに整えます。歯石を除去することで、口臭の改善、歯肉炎の改善などが認められます。手術後は歯磨きなどの自宅でのケアを相談していきます。

犬歯カット

噛み癖の強い子や室内の壁などをかじってしまう犬・猫を対象に犬歯の先端を切断し、鈍性化させ奥歯(臼歯)と高さを合わせ切断面に詰め物をします。手術後、歯髄(歯の神経内)の感染が起きる場合は一時的に抗生物質の投薬で感染を抑えたり、レントゲン撮影にて歯根部を確認します。

歯根膿瘍と抜歯

歯根部の周囲に細菌が溜まることで感染を起こし、それが広がると眼の下が腫れたり、歯の動揺により痛みが出ます。歯の周囲の歯肉が弱く痩せてしまうことで歯がぐらつくために、抜歯が必要となります。手術後は1〜2週間前後で抗生物質の投薬と柔らかいご飯の給餌が必要になりますが、その後はいつもの生活が可能となります。

口腔内腫瘍とその摘出

口腔内に出来た腫瘍を外科的に摘出し、腫瘍の種類によっては顎の骨も部分的または片側切除が必要となります。また、腫瘍の種類に応じて手術後抗がん剤療法や放射線療法にてコントロールしていきます。

麻酔のいらない歯石・口臭対策(特殊な歯みがき)

麻酔のいらない歯石・口臭対策として、当院では特殊な歯磨きとして、アクアゼオ歯磨きというものを実施しています。アクアゼオ歯みがきで用いる歯磨き粉にはゼオライトが含まれており、厚生労働省から食品添加物としての認定を受け特許も取得しているため、安心して口の中に入れることができます。当院併設のトリミングサロンでは、事前の診察で獣医師による口の中の状況を確認してから、アクアゼオ歯みがきの処置を実施しています。無麻酔での処置となるため、心臓病などの病気、高齢で麻酔が不安な犬でも実施が可能です。アクアゼオ歯磨きにて優しく歯をこすり、歯石や汚れを浮かせて取ります。ただし、口の中を触られることに慣れていなく、噛む可能性がある子は処置が受けられない可能性があります。歯石の量にもよりますが、最初は1〜2週に1回を数回のペースで実施することで、1〜2か月後には効果を実感できることが多いです。また、ある程度歯石も取れて、状態をキープする場合には月に1回くらいのペースで様子をみていきます。

皮膚科

皮膚生検(アトピー性皮膚炎・脱毛などの原因究明)

皮膚生検は、アトピー性皮膚炎や脱毛などの皮膚症状の原因究明のために、主に麻酔などすることなく、痛くないようにするための痛み止めなどを使用し、実施します。皮膚生検をすることで、目視等ではわからなかった深いレベルでの原因がわかり、長年治ることがなかった皮膚病や脱毛が治る可能性があります。

皮膚再建術

皮膚再建術は、外傷や火傷など様々な理由において皮膚が欠けてしまい筋肉や皮下組織が露出してしまった状況に対して、塗り薬(外用薬)やレーザー治療を実施しても回復しない場合に実施することがあります。皮膚再建術を実施することで、露出している組織を治し・保護します。皮膚再建後は、外用剤などの使用をしながら、概ね欠損部位は改善方向に向かいます。

皮膚腫瘍摘出術

皮膚に出来る腫瘍には良性から悪性まで様々な種類のものがあります。類表皮嚢胞やイボなどといった腫瘍ではない”できもの”から、形質細胞腫、組織球腫といった良性腫瘍、悪性黒色腫(メラノーマ)、扁平上皮癌、線維肉腫、肥満細胞腫など悪性のものもあります。できものの大きさにより、麻酔をかけずに実施する場合もあります。いずれも切除し完治を目指します。

耳科

耳内内視鏡での耳内検査

耳内内視鏡ことオトスコープとは耳に入れる内視鏡のことで、従来の耳鏡では評価が困難だった耳の奥や鼓膜を評価することが出来ます。麻酔や鎮静をかけずに実施出来ることも多く、得られた内視鏡像により、詳細な耳の内部情報を把握できます。耳の中に何が起きているのかを明らかにでき、そのときに合わせた適切な治療方法を見つけることが出来る可能性が高くなり、起きている耳の問題を改善することができます。

中耳炎治療(局所洗浄・治療薬注入)

中耳炎は犬に多い病気で、慢性外耳炎の犬の約8割は中耳炎に罹患しているとの報告もあります。本院ではオトスコープを用いて、鼓膜の奥の中耳領域を評価し、炎症が起こっていれば中耳に刺激の少ない洗浄液で汚れを除去します。この方法では、中耳領域に直接治療薬を注入することができ、数回繰り返し処置をすることで中耳炎も解決することが出来ます。本治療では耳の奥までオトスコープを挿入する必要があり、それに伴い鎮静や麻酔が必要になることが多いです。

外耳炎治療のための洗浄(局所洗浄・治療薬注入)

外耳炎は犬に多い病気の一つです。その理由としては犬の外耳が人間に比べて複雑な構造をしていることがあげられます。本院ではオトスコープを用いて、通常の耳鏡では評価できない、外耳の奥を評価することができ、炎症が存在すれば、炎症部位に直接、洗浄液を注入することができます。それにより、従来では治りにくかった、難治性の外耳炎も解決することが出来ます。本治療は、症状が軽度の場合は、麻酔や鎮静などの処置をせず実施できる場合も多いです。

耳内外腫瘍摘出(把持鉗子・レーザー)

犬猫の耳にはできもの(腫瘍)ができることがあります。腫瘍によって、慢性的に耳垢が出続けたり、耳に皮膚炎が起きることがあります。当院ではオトスコープを用いて、動物の身体に負担を少なく、耳の腫瘍の摘出を目指します。オトスコープで小さな腫瘍を発見できる場合や、把持鉗子と呼ばれる、狭いところにも届く、ハサミのようなものを用いて、耳内にある腫瘍を目視しながら摘出することが出来ます。また摘出が、難しそうな腫瘍の場合には、レーザー光線をあて、腫瘍を壊死させる治療を実施することもできます。その結果、腫瘍が原因で生じていた外耳炎や中耳炎の問題を解決することが出来ます。

耳内異物除去

耳内に入った異物を放っておくと皮膚を刺激して、外耳炎や中耳炎の原因になることがあります。症状としては頻繁に首を降ったり、首をかたむけたりします。
耳内の異物除去として、当院ではオトスコープを用いて実際に異物が存在するかを確認し、異物が合った場合には把持鉗子を用いて除去します。その結果、従来は除去することが難しかった異物を簡単に除去することができ、中耳炎などの重大な問題の発生を事前に予防することが出来ます。当処置は麻酔や鎮静をかけずに実施することもあります。

全耳道切除術

慢性の外耳炎や、耳の通り道(耳道)に腫瘍ができた際には、耳の通り道が塞がり、さらに炎症が悪化するという悪循環が生じます。その場合は、塞がった耳道を切除し、別の場所に耳道を再建する手術を行う場合があります。手術後は痛みや感染に注意する必要がありますが、数週間後には、耳の痛みや痒さを気にせず生活できるようになります。