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消化器疾患

消化器疾患の概要

消化器とは、口から肛門までの器官のことを指します。フードを口に入れて体内で消化し、栄養成分を摂取、残りを排泄する働きをしますが、主に食道や胃腸などの消化器部分で異常が起こる疾患です。
食欲不振・嘔吐・下痢など、明らかに動物の体調不振が見られる症状が多く、緊急で来院される飼い主様もいらっしゃいます。 少しでも異常を感じたら、早めの受診をお願いします。

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各疾患詳細

胃腸炎

症状

吐く・下痢をする・真っ赤な血便がでる・真っ黒なタールのような便が出る・ゼリー状の便がでる・何回も便がでる・食欲の低下などがみられます。

好発犬種猫種

猫でもみられますが犬のほうがよくみられます。柴犬・ボーダーコリーでよくみられます。

原因

ストレス・食事・細菌・ウイルス・寄生虫・腫瘍・アレルギーなどいろいろな原因で起こります。

治療

原因により治療は様々ですが単純なものでは整腸剤、悪玉菌をやっつける抗生剤、低脂肪で消化の良い食事で治ります。寄生虫が原因の場合は虫下しを使います。ウイルスが原因の場合は特効薬はないので点滴(水分・ミネラル補充)、抗生剤などで体調を整えます。
アレルギーが関わっている場合は過剰な免疫を抑えるような薬(ステロイド、シクロスポリン、クロラムブシルなど)を使います。治療することにより胃腸の炎症が治まり、下痢、嘔吐などの症状が治まります。

犬の膵炎(急性膵炎)

症状

何回も吐く・食欲の低下・お腹が痛そう(触ると嫌がる、祈りの姿勢)などがみられます。

好発犬種猫種

ミニチュアシュナウザーなどの高脂血症を起こしやすい犬でよくみられますがどの犬種でもみられます。

原因

高脂肪の食事が原因となりやすいですが食事と関係なく起こる場合もよくあります。

治療

点滴(水分、ミネラル補充)・吐き気止め・痛み止め(腹部の痛みに対して)が治療の基本です。吐くのが止まり食欲が出てくれば低脂肪の食事を使います。胃腸の運動低下がみられることも多く、その場合は胃腸の動きを改善する薬を使います。治りの悪い膵炎では炎症を抑えるためにステロイドを使うこともあります。治療により膵臓の炎症が治まり、症状が良くなります。

猫の膵炎(慢性膵炎)

症状

元気、食欲の低下がよくみられます。犬と比べて吐くことはあまり多くありません。わかりにくいですが腹痛もよく起こります。

好発犬種猫種

シャム猫で多いといわれていますがどの猫種でもおこります。

原因

腸炎や胆管肝炎と同時に起こることが多く、過剰な免疫が関わることも多いです。

治療

点滴(水分、ミネラルの補充)・痛み止め(腹部の痛み)・ステロイド(炎症止め)を行います。吐き気があれば吐き気止め、胃腸の運動低下があれば胃腸の運動を改善する薬を使います。腸炎・胆管肝炎が同時に起こっていればその治療も行います。治療により膵臓の炎症が治まり、症状が良くなります。

膵外分泌不全

症状

下痢がずっと続く・どんどん痩せてきた・便が脂っぽいなどがみられます。

好発犬種猫種

若い犬(ヨーキーで多い)、高齢の猫でよくみられます。

原因

若い犬では膵臓が委縮して消化酵素が出ない状態となります。高齢の猫では慢性膵炎が原因となり膵臓からの消化酵素が出なくなります。

治療

消化酵素を補充することにより消化吸収が改善され下痢をしなくなります。

便秘

症状

便が何日もでない・気張りすぎて吐く・食欲の低下などがみられます。

好発犬種猫種

犬よりも猫によくみられます。

原因

猫では水分量の不足(慢性腎臓病など)もみられますが、原因不明(特発性巨大結腸症)の場合も多いです。犬では会陰ヘルニアと(会陰部と呼ばれるお尻の横の筋肉が薄くなり腸や膀胱が飛び出てくる病気)で大腸がヘルニア孔に入り込むと起こることもあり、前立腺が大きくなっても起こります。
大腸や肛門のできものが原因となることもあります。神経や筋肉の異常や血液の低カリウムによって、腸の運動が低下することによって起こることもあります。

治療

猫では水分補充・高線維の食事・腸の動きを良くする薬・下剤などを使います。重度の場合は外科手術を行うこともあります。原因が会陰ヘルニア・前立腺が大きい・できものがある場合は、その治療を行います。治療により便がスムーズにでるようになります。