診療予約

肝疾患

肝疾患の概要

肝疾患とは、肝臓という臓器に関する疾患です。
肝臓の働きは、栄養素の分解・合成・貯蔵や毒素を分解させるなど、非常に重要な役割を持っている臓器です。再生能力の高い臓器として有名ですが、症状が表れるということはそこまで大きなダメージを受けているということであり、病気の早期発見のためにも定期的な血液検査などを行うことが望ましいです。

イメージ

各疾患詳細

胆管炎・胆管肝炎

症状

元気がない・食欲がない・吐く・下痢などの症状がみられます。重度になると目や皮膚が黄色くなる(黄疸)が見られます。炎症や胆石により胆嚢から小腸への管(総胆管)が詰まると急激に体調が悪化します。

好発犬種猫種

犬より猫によくみられます。

原因

細菌が原因となる場合(化膿性胆管炎/胆管肝炎)と過剰な免疫が原因となる場合(リンパ球性胆管炎/胆管肝炎)があります。猫では膵炎・腸炎が同時にみられることも多いです(三臓器炎、三徴症)。胆石が関わることもあります。

治療

胆汁の流れや性質を改善し肝臓の保護作用もあるウルソデオキシコール酸・肝臓の栄養剤・水分またはミネラル補充のための点滴を使用します。細菌感染の場合は抗生剤も使います。過剰な免疫が関わる場合にはステロイドなどの免疫抑制剤も使用します。
肝臓の保護作用のあるシルマリンやSAMeなどのサプリメントを使用することもあります。胆石などで総胆管閉塞がある場合には外科手術が必要となります。治療により胆管、肝臓の状態が改善し体調が良くなります。

中毒による肝障害

症状

急激に元気がなくなる・食欲の低下がみられます。

好発犬種猫種

犬でも猫でもみられます。

原因

キシリトール・金属(銅など)・自然毒(ソテツ、毒キノコ、カビ毒など)・化学薬品(ヒ素、タリウム、リンなど)が原因となります。

治療

安静にして水分またはミネラル補充のための点滴・肝臓の栄養剤・抗酸化作用のあるビタミンC・ビタミンEを使用します。シルマリンやSAMeなどの肝臓保護作用のあるサプリメントも使用します。中毒物質が体からでていき、肝臓の状態が改善すれば体調が回復します。

胆嚢粘液嚢腫

症状

元気がない・食欲がない・吐く・下痢などがみられます。重度になると目や皮膚が黄色くなる(黄疸)がみられます。胆嚢から小腸への管(総胆管)が閉塞したり、胆嚢が破裂すると急激に体調が悪化します。

好発犬種猫種

犬(シェルティー、コッカースパニエル、シュナウザーなど)でよく見られます。

原因

胆汁がドロドロとなり、胆汁の流れが悪くなることによって胆嚢や胆管が炎症をおこします。重度になると、胆管が詰まったり胆嚢が破裂することもあります。甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症が関わることもあります。

治療

軽症では、胆汁の流れや性質を改善するウルソデオキシコール酸や抗生剤を使用します。重度の場合は外科手術が必要となります。治療により胆嚢の状態が改善し体調がよくなります。

慢性肝炎

症状

元気がない・食欲がない・吐く・下痢をする・お腹が張っている・よく水を飲む・尿が多いなどの症状がみられます。重度になると目や皮膚が黄色くなる(黄疸)がみられます。

好発犬種猫種

犬(ラブラドールレトリバー、ウェストハイランドテリア、ベドリントンテリア、プードル、コッカースパニエルなど)でよくみられます。

原因

肝臓での銅の過剰な蓄積や肝臓への過剰な免疫が原因となります。

治療

銅が関連している場合には、銅を取り除く薬を使用して銅の少ない食事療法を行います。免疫が関連している場合にはステロイド・シクロスポリンなどの免疫抑制剤を使用します。抗酸化作用のあるビタミンC・ビタミンEを使用することもあります。治療により肝臓の状態が改善し体調が良くなります。

脂肪肝(肝リピドーシス)

症状

元気がない・食欲がない・吐く・下痢などの症状がみられます。目や皮膚が黄色くなる(黄疸)もよくみられます。

好発犬種猫種

猫にみられます。

原因

食欲が低下する病気が原因となり、体の中のタンパク質が不足して肝臓に脂肪が蓄積します。肝臓への脂肪の蓄積により肝機能が低下します。

治療

タンパク質の補充のためにとにかく食べさせます。ただ普通に食事を与えても食べないので鼻や食道、胃にチューブを入れてそこから食事を流し込みます。吐き気止めや点滴も同時に行います。タンパク質が補充されれば肝臓の状態が改善され体調が回復します。