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子猫の目やにと猫風邪

2025.11.14

目次

「朝起きたら子猫の目やにで目が開かない…」 「くしゃみと鼻水が止まらない。これって猫風邪?」

少しでも気になる症状があれば、今すぐご相談ください。

子猫の目やには「猫風邪(猫上部気道感染症)」のサインかもしれません。放置すると数時間で悪化することも。

「これくらいで病院に?」と迷う必要はありません。何もなければ「安心」が手に入ります。それが一番の価値です。

この記事では、猫風邪の原因・治療・予防法を詳しく解説します。


こんな症状はありませんか?

以下のような症状が1つでもあれば、すぐにご連絡ください。

目の症状

  • 目やにが出る(色・量に関わらず)
  • 目が開かない、開きにくい
  • 目が赤い、充血している
  • 目の周りが腫れている
  • 涙が多い

鼻・口の症状

  • くしゃみが出る(回数に関わらず)
  • 鼻水が出る(透明でも黄色でも)
  • 鼻が詰まっている様子
  • 口を開けて呼吸している
  • 口の中が赤い、できものがある

全身の症状

  • 食欲がない、いつもより少ない
  • 元気がない、遊ばない
  • ぐったりしている
  • 体が熱い、または冷たい

「いつもと違う」と感じたら、それが受診のタイミングです。

症状の重さは、飼い主様が判断する必要はありません。プロの目で見れば、見落としも防げます。

今すぐLINE相談・予約(24時間受付)


なぜ「少しでも気になったら受診」なのか

子猫は数時間で急変します

子猫は成猫と違い、免疫力が未発達です。「昨日まで元気だったのに、今朝起きたらぐったり」というケースは珍しくありません。

飼い主様がよく後悔されること

  • 「昨夜もう少し早く連れて来れば…」
  • 「軽い症状だったから大丈夫だと思った」
  • 「こんなに急に悪化するとは思わなかった」
  • 「もっと早く相談していれば、こんなに苦しませずに済んだ」

私たちがお伝えしたいこと

✅ 「これくらいで?」という遠慮は不要です
✅ 何もなければ、それが一番良い結果です
✅ 早期発見なら治療も短期間、どうぶつの負担も少ない
✅ プロの目で見れば、飼い主様が気づかない異常も見つかります
「様子を見よう」が一番危険です

迷ったら、すぐにご連絡ください。それが正しい判断です。

LINEで症状を相談

猫風邪(猫上部気道感染症)の原因

主な病原体

猫風邪を引き起こす病原体は、主に以下の4つです。

1. 猫ヘルペスウイルス1型(FHV-1)

猫風邪の代表的な原因ウイルスで、特に目の症状(結膜炎)を引き起こします(Gaskell et al., 2007)。

  • くしゃみ・鼻水の飛沫で感染
  • 一度感染すると三叉神経節に潜伏し続ける
  • ストレスで再活性化する特徴がある(Thiry et al., 2009)

2. 猫カリシウイルス(FCV)

口の中に潰瘍(口内炎)ができるのが特徴です(Radford et al., 2007)。

  • 軽い風邪症状〜重度の肺炎まで様々
  • 舌や口内の水疱・潰瘍

3. クラミジア・フェリス

細菌による感染で、結膜炎が主症状です(Helps et al., 2005)。

  • 片目から始まり両目に広がる
  • 目やにが特徴的

4. マイコプラズマ・ボルデテラ菌

他の病原体と一緒に感染することが多い細菌です(Helps et al., 2005)。

これらは単独または複数が同時に感染して症状を引き起こします。

感染経路

  • 飛沫感染:くしゃみ・咳
  • 接触感染:食器・おもちゃの共有
  • 母子感染:母猫→子猫

特に保護猫や多頭飼育の環境では感染リスクが高まります(Helps et al., 2005)。


症状:目やにの特徴と進行

目やにの見分け方

健康な目やに

  • 茶色〜黒色
  • 朝だけ少量
  • 乾燥してポロポロ

猫風邪の目やに

  • 黄色・緑色・白色
  • 大量(拭いてもすぐ出る)
  • ドロッとした膿状
  • 目が開かない

ただし、「健康な目やに」でも、いつもより量が多い、頻度が増えたなど、少しでも違和感があればご相談ください。

その他の症状

猫風邪では以下のような症状が見られます(Thiry et al., 2009):

  • 連続的なくしゃみ
  • 鼻水(透明→黄色へ進行)
  • 鼻づまり(口呼吸)
  • 急性の鼻炎と結膜炎
  • 発熱、抑うつ、食欲不振
  • 口内炎・舌潰瘍

重症化すると起こること

子猫の場合、重症化すると以下のような状態になることがあります(Stiles, 2003):

  • 眼球癒着:目とまぶたがくっついて離れなくなる
  • 脱水症状:ぐったりして動けない
  • 呼吸困難:鼻が完全に詰まる

これらは早期受診で防げる病気です。

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【絶対禁止】やってはいけない4つのこと

❌ 人間用の目薬を使う

成分が合わない可能性がある

❌ 無理に目やにを剥がす

目やまぶたを傷つけます。

❌ 「様子を見よう」と判断する

子猫は急変します。迷ったら受診してください。

❌ ネットで調べて自己判断する

症状の軽重は、プロが判断すべきです。


自宅でできる応急ケア(病院に連絡後)

まず病院へ連絡してから、以下のケアをしてください。

目やにの拭き方

  1. ぬるま湯でガーゼを湿らせる
  2. 10〜20秒当てて柔らかくする
  3. 目頭→目尻へ優しく拭く
  4. 1回ごとに新しいガーゼへ

ポイント:こすらない、使い回さない

環境を整える

  • 加湿:50〜60%(鼻づまりが楽に)
  • 安静:静かな場所
  • 水分:飲みやすい位置に
  • 食事:ウェットフードを温める(香りで食欲UP)

病院で伝えること

  • いつから症状が出たか
  • 目やにの色・量
  • くしゃみ・鼻水の頻度
  • 食事・水の量
  • 元気度

スマホで写真を撮っておくと診察がスムーズです。

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動物病院での治療(JAHA内科認定医の視点)

診断

  • 視診・触診
  • 体温測定
  • 血液検査(重症例)
  • ウイルス検査(必要時)

**内科認定医は複合感染を見逃しません。**一般的な検査に加え、症状から原因を総合的に判断します。

治療内容

内服薬

抗生剤 細菌感染・二次感染を治療(7日〜1ヶ月)

抗ウイルス薬 ヘルペスウイルスの増殖を抑制

免疫賦活剤 インターフェロンなどで免疫力サポート

外用薬

点眼薬 抗生物質入り(1日2〜3回)

点鼻薬 鼻づまり改善

ネブライザー治療

お薬を霧状にして鼻・気道に直接届ける治療法。

  • 内服が難しい子猫に最適
  • 患部に直接届くため効果的
  • 基礎疾患がある場合も安全

治療期間

適切な治療で1〜2週間で改善します(Sykes, 2014)。

ただし、ヘルペスウイルスは三叉神経節に潜伏し続け、生涯再発リスクがあります(Gaskell et al., 2007)。だからこそ専門家の継続的なケアが重要です。

早期に治療を始めれば、治療期間も短く、どうぶつの負担も少なくて済みます。

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予防と感染拡大防止

多頭飼いの場合

猫風邪は感染力が非常に強く、一頭が発症すると家にいる他の猫にもあっという間に広がってしまいます(Thiry et al., 2009)。特に多頭飼いのご家庭では、適切な感染対策を行うことで他の猫たちを守ることができます。

隔離のポイント

理想は完全隔離ですが、住環境によって難しい場合もあります。

別室での隔離が可能な場合 症状が出た猫を他の猫と完全に離れた部屋で管理してください。隔離期間は最低でも2週間、症状が完全に治まってからも病原体が潜伏していることが多いので(Gaskell et al., 2007)、1週間程度は続けることをおすすめします。

完全隔離が難しい場合 同じ部屋でも、できる限り距離を取る対策をしてください。病気の猫を大きめのケージに入れて健康な猫と2メートル以上離したり、突っ張り棒とビニールシートで簡易的な仕切りを作ったりするだけでも感染リスクを大幅に下げることができます。

接触感染を防ぐ対策

接触感染を防ぐための対策も徹底してください。食器や水入れ、トイレは病気の猫専用のものを用意し、健康な猫と共用することは避けてください。タオルやブランケット、おもちゃなども同様です。

また、病気の猫をお世話した後は、必ず石鹸で手をよく洗い、可能であれば衣服も着替えてから他の猫のお世話をするようにしてください。

お世話の順番

お世話の順番にも注意が必要です。必ず健康な猫たちのお世話を先に済ませ、病気の猫は最後にお世話してください。この順番を守ることで、健康な猫に病原体を運んでしまうリスクを大幅に減らすことができます。

消毒のポイント

使用した用具の消毒も重要なポイントです。

  • 食器類:熱湯消毒するか、次亜塩素酸ナトリウム系の消毒薬を使用
  • 床や壁:病気の猫が触れた可能性のある場所は、アルコール系消毒薬で清拭
  • 飼い主様の手指:石鹸での手洗い後にアルコール消毒を行うことで、より確実に感染を防ぐことができます

ワクチン接種(WSAVA国際基準)

猫風邪の感染予防にはワクチン接種が有効です。ワクチン接種で猫風邪にかからないわけではありません。あくまでもワクチン接種をすることで、感染のリスクを下げ、感染しても症状を軽くすることが目的です(Day et al., 2016)。

3種混合ワクチン(コアワクチン)

すべての猫に推奨される重要なワクチンです(Day et al., 2016)。

  • 猫ヘルペスウイルス(FHV-1)
  • 猫カリシウイルス(FCV)
  • 猫汎白血球減少症ウイルス(FPV)

接種スケジュール

子猫

  • 初回:生後6〜8週齢
  • 2回目:3〜4週後
  • 3回目:3〜4週後(16週齢以降で完了)

成猫

年1回の追加接種or抗体検査
生活(飼育)環境に応じて追加接種か抗体検査が推奨されています。詳しくは当院スタッフまでお声がけ下さい。

ストレス管理と日常の観察
猫風邪はストレスも発症要因の1つとされています(Thiry et al., 2009)。日常生活の中で猫の様子をよく観察し、ストレスになっていそうな事柄があれば見直すようにしましょう。

  • 静かで安心できる環境
  • 生活リズムの安定
  • 適度な運動と遊び
  • 環境変化は少しずつ

また少しでも様子に変化があれば早めに動物病院を受診することがすすめられます。


まとめ:迷ったら、すぐにご相談を

子猫の目やにと猫風邪は、早期受診がすべてです。

飼い主様にお伝えしたいこと

「これくらいで病院に?」と遠慮しないでください

  • 症状の軽重は、飼い主様が判断する必要はありません
  • 何もなければ「安心」が手に入ります
  • 早期なら治療も短期間、どうぶつの負担も少ない
  • プロの目で見れば、見逃しも防げます

「いつもと違う」と感じたら、それが受診のサイン

  • 少しでも気になる症状があれば、すぐにご連絡ください
  • 夜中や早朝でも、LINEなら24時間受付しています
  • 「もっと早く来れば…」という後悔をしないために

JAHA内科認定医だからできること

  • 複合感染の正確な診断
  • 個別最適化された治療計画
  • 最新の治療法による早期回復
  • 再発防止の継続的サポート

当院ではJAHA獣医内科認定医が、どうぶつ一頭一頭に最適な治療を提供します。大切な家族の健康を、一緒に守っていきましょう。


📱 今すぐできる3ステップ

STEP1:LINEで友だち追加

こちらから30秒で完了

STEP2:症状を写真付きで送信

「これくらいで相談していいの?」→大丈夫です!気軽にご連絡ください

STEP3:予約・来院

当日予約も可能です

何もなくても、「安心」が手に入ります。それが一番の価値です。


参考文献

  • Day, M.J., Horzinek, M.C., Schultz, R.D., & Squires, R.A. (2016). WSAVA Guidelines for the vaccination of dogs and cats. Journal of Small Animal Practice, 57(1), E1-E45.
  • Gaskell, R., Dawson, S., Radford, A., & Thiry, E. (2007). Feline herpesvirus. Veterinary Research, 38(2), 337-354.
  • Helps, C.R., Lait, P., Damhuis, A., Björnehammar, U., Bolta, D., Brovida, C., … & Graat, E.A. (2005). Factors associated with upper respiratory tract disease caused by feline herpesvirus, feline calicivirus, Chlamydophila felis and Bordetella bronchiseptica in cats: experience from 218 European catteries. Veterinary Record, 156(21), 669-673.
  • Radford, A.D., Coyne, K.P., Dawson, S., Porter, C.J., & Gaskell, R.M. (2007). Feline calicivirus. Veterinary Research, 38(2), 319-335.
  • Stiles, J. (2003). Feline herpesvirus. Clinical Techniques in Small Animal Practice, 18(3), 178-185.
  • Sykes, J.E. (2014). Canine and Feline Infectious Diseases. Elsevier.
  • Thiry, E., Addie, D., Belák, S., Boucraut-Baralon, C., Egberink, H., Frymus, T., … & Horzinek, M.C. (2009). Feline herpesvirus infection. ABCD guidelines on prevention and management. Journal of Feline Medicine and Surgery, 11(7), 547-555.

記事監修:黒島稔也(どうぶつ病院京都桂 院長・JAHA獣医内科認定医)
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