2025.11.28
愛猫がくしゃみを繰り返していると、「風邪かな」「様子を見ていいのかな」と不安になりますよね。
実は、猫のくしゃみが続く場合、重大な病気が隠れている可能性があります。軽く考えて様子を見ている間に、症状が悪化してしまうケースも少なくありません。
この記事では、猫のくしゃみの原因、すぐに動物病院を受診すべき症状、そして治療法について、内科認定医の視点から詳しく解説します。
愛猫に以下の症状が見られる場合は、すぐに動物病院を受診してください。
これらの症状は、放置すると命に関わる場合もあります。
「もう少し様子を見よう」と思わず、早めの受診を心がけてください。
[ 京都でどうぶつの症状にお悩みの方へ ]当院では、LINEから24時間いつでもご予約いただけます。
くしゃみが気になったら、まずはご相談ください。
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くしゃみが数日続く場合、以下のような病気が隠れている可能性があります。
猫のくしゃみの原因の90%以上を占めるのが、猫風邪と呼ばれるウイルス感染症です。
主な原因は猫ヘルペスウイルス1型(FHV-1)と猫カリシウイルス(FCV)で、感染力が非常に強いのが特徴です。(1)(2)(3)
子猫や高齢猫は重症化しやすく、肺炎を引き起こして命に関わることもあります。(5)
また、一度感染すると体内にウイルスが潜伏し、ストレスや免疫力の低下で何度も再発することがあります。
多頭飼育されている場合は、新しく迎え入れたどうぶつを少なくとも1〜2週間は他の猫から隔離し、感染拡大を防ぎましょう。
[ くしゃみ以外の症状も気になる方へ ]
目やにや鼻水が出ている場合、猫風邪の可能性があります。早めの治療で重症化を防げます。
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副鼻腔とは、鼻の奥にある空洞のことです。ここに炎症が起き、膿がたまる病気を副鼻腔炎といいます。
ウイルス感染後に細菌感染が続くことで、慢性的な鼻炎に進行します。(8)
副鼻腔は複雑な構造のため、薬が届きにくく治療に時間がかかる傾向があります。(9)(10)
症状が長引くほど治りにくくなるため、早期の治療が重要です。
意外に思われるかもしれませんが、歯や歯茎の病気がくしゃみの原因になることがあります。
歯周病の細菌が上あごの歯根から副鼻腔へ感染拡大することで、副鼻腔炎を引き起こします。(11)(12)
高齢の猫では特に注意が必要です。
花粉、ハウスダスト、カビなどに反応して起こります。
毎年同じ時期にくしゃみが増える場合は、花粉などの季節性アレルゲンが関係している可能性があります。
ただし、猫では人間ほど一般的ではありません。
鼻の中にできものができると、空気の通りが悪くなり、くしゃみが長引いたり、さまざまな症状が出ます。(13)(14)
特に中高齢の猫では、腫瘍の可能性を考える必要があります。
草の種や小さな異物が鼻の中に入ると、連続したくしゃみを引き起こします。
外に出る猫や、草むらで遊ぶ猫に見られることがあります。
[ くしゃみが1週間以上続いている方へ ]
長引くくしゃみは、重大な病気のサインかもしれません。京都で症状にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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猫のくしゃみの治療は、原因によって方法が大きく異なります。そのため、正確な診断が非常に重要です。
まず、以下のような情報をお伺いします。
これらの情報は診断に非常に重要ですので、できるだけ詳しくお伝えください。
感染症の有無や炎症の程度を測定します。全身状態の把握にも役立ちます。
鼻腔や副鼻腔の状態を確認します。
膿のたまり具合や、鼻腔内の異常を見つけられることもありますが、
鼻腔内の異常はレントゲン検査で見つからないことも多々あります。
症状が長引いたり、治療への反応が悪い場合は、CT検査で精密に調べます。
レントゲンでは見えない小さな病変や腫瘍の有無を確認できます。
原因によって治療法は異なりますが、一般的には以下のような治療を行います。
猫ヘルペスウイルスに対して、アシクロビルやファムシクロビルなどの抗ウイルス剤を使用します。
細菌感染が原因の場合、または二次感染を防ぐために、適切な抗生剤を投与します。
ウイルスの増殖を抑えたり、猫自身の免疫力を高める作用があります。
アレルギー反応によるくしゃみの場合、抗アレルギー剤を使用します。
歯のトラブルが原因の場合、症状の程度によって以下の治療を行います。
CT検査で原因を特定した後、以下の治療を選択します。
治療法は腫瘍の種類や進行度によって異なります。
鼻腔内に異物が入っている場合は、内視鏡を使って取り除きます。
[ 治療についてもっと詳しく知りたい方へ ]
愛猫の症状に合わせた最適な治療法をご提案します。内科認定医が在籍する当院にお任せください。
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自宅でできる予防策をご紹介します。
猫ヘルペスウイルスや猫カリシウイルスに対するワクチンは、感染を完全には防げませんが、病気の重症度を大幅に軽減します。(15)(16)
特に子猫や多頭飼育の環境では、定期的なワクチン接種が重要です。
猫ヘルペスウイルスは、一度感染すると体内に潜伏します。
ストレスがかかると再活性化し、症状が再発することがあります。(7)
以下のような環境変化に注意しましょう。
適切な室温(20〜28℃)と湿度(40〜60%)を保つことで、鼻や喉の粘膜を守ります。
特に乾燥する冬場は加湿器の使用をおすすめします。
新しく迎え入れたどうぶつは、最低1〜2週間は他の猫から隔離しましょう。
この期間に健康状態を観察し、感染症の伝播リスクを最小限に抑えます。
猫のくしゃみの原因で最も多いのは、猫ヘルペスウイルスや猫カリシウイルスによる感染症です。
しかし、長引く場合は慢性鼻炎や副鼻腔炎、中高齢の猫では腫瘍の可能性も高くなります。
一見軽微に見えるくしゃみですが、歯周病や腫瘍など重大な疾患が隠れていることもあるため、決して軽視できません。
「もう少し様子を見よう」と思わず、早めに動物病院を受診してください。
早期発見・早期治療が、愛猫の健康を守る最善の方法です。
当院では、内科認定医が在籍しております。
猫のくしゃみでお悩みの場合は、どうぶつ病院京都 桂まで、お気軽にご相談ください。
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監修:どうぶつ病院京都 桂
院長 黒島稔也(内科認定医)
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引用文献
1. Gould D. Feline herpesvirus-1: ocular manifestations, diagnosis and treatment options. J Feline Med Surg. 2011;13(5):333-346.
2. Maes R. Felid herpesvirus type 1 infection in cats: a natural host model for alphaherpesvirus pathogenesis. Vet Res. 2012;43(1):78.
3. Thiry E, Addie D, Belák S, et al. Feline herpesvirus infection. ABCD guidelines on prevention and management. J Feline Med Surg. 2009;11(7):547-555.
4. Lappin MR. Feline upper respiratory infections. In: Proceedings of the North American Veterinary Conference. 2015:37-38.
5. Coutts AJ, Dawson S, Binns S, et al. Studies on natural transmission of Bordetella bronchiseptica in cats. Vet Microbiol. 1996;48(1-2):19-27.
6. Contreras ET, Hodgkins E, Tynes V, et al. Effect of a pheromone on stress-associated reactivation of feline herpesvirus-1 in experimentally inoculated kittens. J Vet Intern Med. 2018;32(1):406-417.
7. Gaskell RM, Dawson S, Radford A, Thiry E. Feline herpesvirus. Vet Res. 2007;38(2):337-354.
8. Quimby J, Lappin MR. Update on feline upper respiratory diseases: diagnosis and treatment. In: Today’s Veterinary Practice. 2022.
9. Henderson SM, Bradley K, Day MJ, et al. Investigation of nasal disease in the cat – a retrospective study of 77 cases. J Feline Med Surg. 2004;6(4):245-257.
10. Johnson LR, Foley JE, De Cock HE, et al. Assessment of infectious organisms associated with chronic rhinosinusitis in cats. J Am Vet Med Assoc. 2005;227(4):579-585.
11. Venker-van Haagen AJ. Chronic rhinitis and dental disease. J Small Anim Pract. 1992;33(6):289-292.
12. Harvey CE. Periodontal disease in dogs. Etiology, pathogenesis, and prevalence. Vet Clin North Am Small Anim Pract. 1998;28(5):1111-1128.
13. Ferguson S, Smith KC, Welsh CE, Dobromylskyj MJ. A retrospective study of more than 400 feline nasal biopsy samples in the UK (2006-2013). J Feline Med Surg. 2020;22(3):199-206.
14. Vekšins A. Feline upper respiratory tract disease – Computed tomography and laboratory diagnostic. Vet World. 2022;15(7):1880-1886.
15. Lappin MR, Sebring RW, Porter M, et al. Effects of a single dose of an intranasal feline herpesvirus 1, calicivirus, and panleukopenia vaccine on clinical signs and virus shedding after challenge with virulent feline herpesvirus 1. J Feline Med Surg. 2006;8(3):158-163.
16. Scott FW, Geissinger CM. Long-term immunity in cats vaccinated with an inactivated trivalent vaccine. Am J Vet Res. 1999;60(5):652-658.