2021.07.21
スタッフブログ
「糖尿病の治療中だがインスリンの効きが悪い」
「血糖値が全然下がらないと言われた」
このような訴えで来られた猫さんがいます。
10歳の女の子です。
実際に血糖値を測定してみたところ500以上の数値でした。
(正常値は70~150ぐらいです)
さらに病院でお預かりしてインスリンを打った後、
血糖値が下がるかどうか確認したところ、
ほとんど下がりません・・・
インスリンの量、種類ともに問題はないはずです。
これはおかしいと思い、
「インスリン抵抗性の糖尿病」を疑いました。
今日は
インスリンが効きにくい糖尿病=「インスリン抵抗性糖尿病」
についてお話させていただきます。
「インスリン抵抗病糖尿病」
とは通常量のインスリンで、血糖値が下がらない糖尿病のことです。
とにかくインスリンの効きが悪いのが特徴です。
なかには通常量の5~10倍以上のインスリンが必要なケースもあります。
猫の「インスリン抵抗性糖尿病」は
・先端肥大症(末端肥大症)
・副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
と呼ばれる内分泌疾患(ホルモンの病気)が原因で発生することが多いです。
今回の猫ちゃんのケースでは
特殊なホルモン検査(インスリン様成長因子と呼ばれるものです)
を行い、「先端肥大症」と診断できました。
「先端肥大症」とは
成長ホルモンが出すぎることにより、
身体の色々な箇所が大きくなり、
糖尿病を引き起こす病気です。
成長ホルモンがインスリンの働きをすごく邪魔するので、
インスリンが全然効かなくなります。
今回の猫ちゃんも通常量の3~5倍の量のインスリンで、
糖尿病をコントロールしています。
診断がついた後、
膵炎になったり、関節炎を起こしたりと色々ありましたが、
猫ちゃん、飼い主さんともに、通院、入院を頑張ってくれたので、
現在の体調は落ち着いています。
これからも良い体調が続くことを期待しています。
チュールを食べて満足そうなKちゃん
インスリンの効きが悪い糖尿病でお困りでしたら、
ぜひ当院までご相談ください。
動物病院京都 西京桂 獣医師 黒島稔也